『デルフィニア戦記』名言集


グリンディエタ・ラーデン

「普通、王座を追われた王様っていうのは、もっと悲壮な決意で首都奪還に挑むものだと思うけどな。君にかかってはまるで遊び事だ」
「今までずいぶん色々と人間を見てきたけど……、ほんとに、こんなにおもしろいのは初めてだ」
「生まれつきこうだったわけでも、自慢するために覚えたわけでもないぞ。生きるために身につけたものだ」
「人間とは言わないけど、同じ生き物であることには違いない。切られれば痛いし、心臓が止まれば死ぬんだ。いざとなったら自分の体を守るだけで手一杯なんだからな。あんまり面倒をかけるなよ」
「さっきのは嘘。馬鹿も石頭も鈍いのも嫌いじゃないよ。りこうすぎたり切れすぎて自滅したりするより、よっぽどいい」
「この剣と戦士としての魂に賭けて。グリンディエタ・ラーデンは、ウォル・グリークがその誓いを果たす時まで剣と助力を与えることを、ここに誓う」
「お前がお前である限り、戦士の魂を忘れないでいる限り、お前が国王だ」
「おれは死なないよ。死ねない理由もあるしな」
「生きている者なら誰だって死にたくないと思うさ。それが当たり前だ」
「生きている意味を知らない奴ほど簡単に死を選ぶ。以前のお前がそうだ。死ぬことがどういうことかも知らないで死が何ほどのものかと言い、簡単に死ぬ。馬鹿な話さ。おれはそんな生意気な奴は大嫌いだ」
「逆に、死を恐れ、死にたくないと考えている奴が死んでもいいと思って力を振り絞った時はすごい。もし奇跡なんてものがあるとしたら、それは多分ああいう底力を言うんだ」
「な? この王様は何も考えていないひょうろく玉のようでいてけっこう強気なんだ」
「動きの速さと頭の良さでグライアに勝る馬はない。力と技でおれに勝る騎士もいない。一対一では申し訳ないような気がするんだがな」
「仕方がないな。名ばかりの王妃のおれはあいつに王子は与えてやれない。『女らしく』夫の力になることも慰めてやることもできない。できるのは戦場で不覚をとらせないこと、勝利を導くことだ。そんな手助けはあいつにはいらないのかもしれないがな。おれは自分にできることをする」
「おれはグリンディエタ・ラーデン。肩書きはデルフィニア王妃。この世界の異邦人だ」
「なあ、それじゃ少しは王妃らしくして、ウォルが戻ってきたら『寂しかったわ、あなた』とか言って抱きついてキスしてやったほうがいいのかな?」
「自分を信じろ。できないのなら、おれを信じろ。おれはお前の勝利の女神だぞ」

ウォル・グリーク・ロウ・デルフィン

「普通、王座奪還といえば家重代の至命であるはずなのだがな。お前にかかっては形無しだ」
「山賊のためではないさ。俺のためだ。ここは俺の国であり、彼らは俺の人民だ。それを不当に苦しめるものがいるなら何とかするのが義務というものだ」
「その姿で十人力の怪力、名人芸並みの武術と軽業師並みの身のこなしときては、不死身ではないかと疑ったところで誰も俺を責められんだろうよ」
「デルフィニア王女、グリンディエタ・ラーデン。いい響きではないか」
「しかし、賢人と言われて小粒に収まるくらいなら、馬鹿と罵られて大きく生きろという言葉もある」
「いや、この際、色気よりそうした闘志の方がありがたい。色っぽい話なら他の女といくらでもできるが、勝利の女神はただ一人だからな」
「新婚か……。今の俺には実に遠い響きだ」
「思いついたのだがな。王女は死に至るほどの毒物なら見分けられるというのだから、今度はもっと微量にするか、軽傷で済む薬を試してみたらどうだ? しびれ薬とか腹下しの薬とか。案外それならかかるかもしれんぞ」

イヴン

「昔からそうなのさ。何にも考えていないようで妙に腹が座っていやがる。目端も利く。鈍重に見えるのに驚くほどの行動力がある。本当の大人物なのか、それともただの馬鹿なのか、よく悩まされたもんだ。王様になってちっとは変わっているかと思えば、呆れるくらい昔のままだ」
「権力を握った人間はがらりと変わっちまうからな。まして文字通りの王様暮らしだ。中央はおろか大陸中からかき集められるありとあらゆる贅沢と快楽、追従を言う取り巻き連中、着飾った貴婦人たち、一声で自在に動かせる強力な軍隊と神にも等しい権力。そんなものに囲まれて変わらないでいられるほうがおかしい。誰だってのぼせあがる。権力を楽しむことに夢中になっちまう。お前もそうなるかと思ったのさ。いくらお前が鈍くても、田舎育ちでも、王座が尻になじむにつれ、王冠が頭になじむにつれ、権力と権威に醜くしがみつく連中の一人に、きっとなっちまうんだろうとな」
「早速ではございますが先触れもつかわしませず、ぶしつけにもこのように唐突に御前にまかり出でました件につきまして……だめだ、これ以上続けるとなると歯が残らず浮き上がって口から逃げ出しちまう」
「ばかやろう。男とおっかない親父さんがいる場合を除けば、美形を見かけたら口説くのは男のたしなみってもんだ」
「いいか、野郎ども。敵は勇猛果敢で知られるタンガ軍だ。普段なら俺達が面と向かって喧嘩を挑めば絞首刑ものだ。ところが今回はデルフィニアのお墨付きでおおっぴらに戦える。こんなおいしい機会は二度とねえからな。存分に腕試しといこうかい!!」

ノラ・バルロ

「待てい、雑魚ども! 今度は俺が揉んでやる!!」
「あいつの恋愛は恐ろしく地味で、奥手で、まるで老人交友会の爺さんが婆さんに思いを寄せるようなしろものだが、ほのかに慕ってはいるようだな」

シェラ・ファロット

「違うな。私は飼われたくて仕方がない。飼い主になってほしいのに向こうが首輪を着けてくれない」

ドラ将軍

「能ある鷹は爪を隠すというが……いやはや、あの方の爪は三重ぞなえだわ」

アランナ

「……私、そんなに食いしん坊に見えたのかしら」
「もうだめ、もうだめだわ。私きっと死刑になります。あなた、ごめんなさい。デジー、レニー、ごめんなさい。お母さんは帰れないわ! 二人ともお父さまの言うことをよく聞いて、いい子にしてね。ああ、どうしましょう!」
「その王妃殿下に残り物を食べさせたんですよ! 私なら絶対私を死刑にします!! 決まってます! よくたって牢屋行きですわ! 妃殿下が許してくださったって陛下がお許しになりません! 私だって私が許せませんわ!」

ルカナン

「全能のヤーニス、剣のバルドウ。誓約のオーリゴ、ええい、他のありとあらゆる神々にかけて! あの娘は気がふれているに違いない」

モイラ・ファロット

「女の足が見たければ、お前の主人の足でも眺めておけばよかろう。私は御免被る」

クリサンス騎士団団員

「勝利の女神が醜女だってのは、あれは嘘だな。他はともかく、このデルフィニアの勝利の女神は敵も魂を奪われるほどにお美しいからな。本当だぞ? 俺たちはこの眼で見たんだ。婚礼衣装の軍神バルドウとその妻ハーミアをな!」



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